医療法人社団やまびこ

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踵骨骨端症 (セーバー病・シーバー病・Sever病)とは

発育期の子どもに多い病気で、ぶつけたり、ひねったりした様子もないのに、かかとに痛みを伝えてくることがあります。
かかとの痛みを回避しようとつま先で歩くようなことも見られます。
セーバー病(シーバー病)の名前は、1900年代前半にこの病気について報告をしたアメリカの整形外科医、ジェームス W. セーヴァーに由来しています。

症状

特に10歳前後の成長期の小学校高学年の男の子に多い病気で、歩いたり、ジャンプしたりした時に足のかかとの部分の痛みを強く感じます。

運動会やクラブ活動の練習、遠足で長い距離を歩いたといったことが、痛みのきっかけになることがあります。両足の痛みを訴えることもあります。

原因

発育期の子どもの骨は、大人と違い、骨が成長していく部分 (骨端線あるいは成長軟骨と言います)が残っています。
(図の矢印)。

セーバー病、シーバー病、Sever病

骨端線は物理的に弱く、かかとの部分の骨 (踵骨:しょうこつ)には、アキレス腱と足の裏の筋肉がついているため、運動で繰り返し骨端線の周囲にひっぱる力が加わることで、炎症を起こしたり、骨に細かい傷がついたりすることが痛みの原因と言われています。

検査

病院を受診した場合には、他の病気の可能性もあるので、レントゲン写真を撮影します。
骨端線よりも外側の部分の骨 (骨端核)が他の部分にくらべて白くなっていたり (骨硬化)、いくつかの骨に分かれていたりすること (分節化)もあります。
また、MRIの画像診断では、他の骨の部分とちがった色に変化 (信号変化)が見られることもあります。

一般的な治療

治療は、手術の必要はありません。
痛みを伴う動作を控えることが重要で、運動の制限やかかとの部分を保護する靴の中敷き (インソール)などを使用して、痛みが軽快するのを待つことで治ります。
アキレス腱周囲のストレッチも有効です。骨端線は15歳頃までには閉じてしまうため、これ以降に発症することは基本的にありません。後遺症を残すこともありません。

リハビリのすすめ

姿勢や動作を分析します。
正しいフォームでセーバー病(シーバー病)予防と痛みが出ないようアドバイスをいたします。
また、運動前にはアキレス腱とふくらはぎをしっかりと伸ばすストレッチをしましょう。 アキレス腱のストレッチ

参考文献

落合達宏, 足部の骨端症の痛み診療. MB Orthop. 34(12): 100-110, 2021
標準整形外科 (第14版). 医学書院. 2019
成長期のスポーツ障害. 日本小児整形外科学会スポーツ委員会. 2010


セーバー病、シーバー病、Sever病